白い熱源くん(一部誇張あり)

というわけで、この四日間、とてもこの世の物とは思えない素晴らしい授業を受けてきました。当の講師がずっと怒り気味なのはきっと「俺にこんな糞な講座受け持たせんじゃねぇ、死ね」とでも思っていたんでしょう。余談では確実に顔は和んでました。
で、夏期講習も座席指定でしかも教室満員でどうしようにも別な席に座るような事が出来ない状況下、となりのヤツが授業の理解に著しい障害となり得ることは十分にあることは分かってはいたんですが、今までそんな事一度も無かったのできっと大丈夫だろうと踏んでいたら、、、そう、ついに来た。本気で凹んだ。こんな熱源と12時間+α一緒にいるぐらいならあの講師に「キレんなボケェェ」と正面で言うほうが、、、マシじゃないか。とにかくすごいんですよ!だって人間に感じられる気、筋肉の動きが感じられないんですよ!もうこれはあの巨大な白い脂肪の塊を燃焼しながらなんとか動いてるとしか思えないんですよ!でもその最低な初印象は、更なる悲劇を暗示していたのだった。
そいつ(以下、熱源)は案の定狭い四人掛けの机の3/10を陣取り、ぼくは椅子を1/3は通路に出して座らなければならなかった。授業が始まった。熱源は講師が解説を始めるとしきりに首を上下に振り出した。普通はそれは「頷く」と解釈できそうだが、熱源は途中全く関係の無い、頷くタイミングとはとても思えないところで首をもっさもっさと縦に振るのだ。そうか、きっと熱源は張子の虎の首の上下運動を意味も無く再現しているんだ。単振動の周期は重さの1/2乗に比例するから頭の重さぐらいならきっと頷くように見えるんだろう。というかそうしか解釈が出来なかった。
講師が線を引き出すとみんな線を引く。勿論熱源だって例外ではない。彼は特注と思しきサイズのものさしを取り出し、極細0.3ミリのボールペンで線を引く。そのボールペンも特注と見えて、熱源が「えいやっ」と線を引くたびに、まるで鬼武者のSEでも効くかのようにバサッバサッと、とてもボールペンから出ているとは思えない音量で線を引く。きっとものさしとボールペンが共鳴して、わけわからんけどとにかく大きい音が聞こえるのだろう。しかしそれだけではない。次に取り出したシャーペンでさえ特注仕様だ。なるほど、金持ちか。どおりで講座をたくさんとってるわけだ。その後、左右に首を振る。その時ぼくはさっきの首振り運動の応用と思ったがどうも怪しい。そう、人のノートをチラ見しているのだ。首を振った後、熱源は自分のノートに、さも自分が聞いたかのようなそぶりをして書き込む。てか、聞きそびれたんやったら普通に頼めよ、熱源。いや、見すぎだよ。せめて目だけ動かそうよ、熱源。かくして熱源との戦いの1/4は終わった。
2日目はテスト演習だ。席は昨日と同じ。浅はかなぼくは熱源の動力源が脂肪であることから、まさか、まさか物凄い速さで丸をして、チェックをして、周囲に迷惑をかけるようなことは無いだろう、と予測していたが甘かった。試験開始直後、熱源はその体つきに似合わない、想像も出来ない速さで腕を上下に動かし出した。とにかくぎゅうぎゅう詰なので手で隠してないと嫌でも目に入る。うざい。正直ウザイよ熱源。しかも、恐らく○を書いたんだろう、今度はアークザラッドのトッシュの真空斬のような音がする、、、直線だけでなく○までも斬りつけ系SEとは、恐るべし、熱源。熱源の絶え間ない斬撃を必死で堪えながらぼくは何とか時間内に回答を終え、とりあえずは一段落だ。テスト終了と同時に、答案が配られ自己採点をした。するとまたトンデモない音が隣から聞こえてくる。○だ。大きな、そして自信と言うよりはむしろ傲慢の溢れた○だ。何ですか?あなた自分の失敗を隠してまでそんなことしないと自己を保てないんですか?情けない男だ。次の瞬間、今度はじろじろとこっちを見る。なんやねん熱源、人の採点見るんちゃうぞ、大体首ごと動かすとか頭…じゃなくて目がどうかしてるやんけ。とか思って熱源の方向を見たら白々しく反対側を向く。それでもしつこく見てくる。どうやら自分より劣る人をみて優越感に浸ることが趣味らしい。人間、否、熱源として情けないぞ、熱源。仕方が無いのでもう一度熱源を見ようとすると、今度は椅子に座りなおす振りをする。もうちょっとマシなパターン考えようよ、傍から見てもあからさまだよ、熱源。
というか、何で4日間授業中ずっと髪の毛湿ったままなの?
とにかく大変でした。